diary 写真短歌「私の青空」

日々の生活で感じたことを、つたない短歌にしました。写真と短歌のコラボで遊びたい😅

段ボールから黒澤明「暴走機関車」



男たちの合唱

機関車が監獄の傍を通る時
牢獄の中の俺達に呼びかける
よう、お前たち
鎖につながれてるのは
お前たちだけだと思うのか?
俺を見な!
俺は背中に一マイルもの貨車を
つながれて、一生涯を過ごすんだ!
俺だって逃げだしたい
俺だって自由が欲しい



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暴走機関車
1963年アメリカで実際にあった、ニューヨーク州のシラキュースからロチェスターまでを、巨大な四大連結の機関車が吹雪の中を暴走する話。


1966年黒澤明は、小国英雄菊島隆三と共同で脚本を書いた。
舞台はもちろんアメリカ。
監督は黒澤明。スタッフ、キャストはアメリカ人でアメリカ映画。
しかし、製作会社との内容のくいちがいで実現ならず。
その後、1985年黒澤明のシナリオを原作としながら、別なシナリオで別な監督で映画化。



もし、これが映画化されていたら間違いなく彼の代表作のひとつになっていた。
何より今でも印象に残っているのは、ラストシーン。
アメリカ映画でよくある、お決まりなラストシーンは危機を脱した主人公が、恋人や妻と抱き合い熱いキス。


「全集・黒澤明」第五巻に収録。

吹雪の夜。
シカメ面の妻「遅かったじゃないの」
暴走を止めたチャーリー「ロチェスターへ行ってたんだ」
妻「(全く取り合わずに)そう、結構ね。私はずっとここで食事を温めて待っていたのよ。時間通りに帰って!」

チャーリーは窓を開けると、遠くから機関車のホイッスルが聴こえ、冒頭の「男たちの大合唱」がかぶり、
また妻がヒステリックに「気でも狂ったんじゃない?こんな日に窓をあけたりして!」

チャーリーは窓に向かって立ったまま動かない。
窓ガラスに遠ざかってゆく貨物列車、ホイッスルが長く尾をひく。

END


(段ボールの奥から出てきたシナリオより。ヤッパ、映画観たかったなぁ😃)


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